文京区の法律相談・弁護士なら佐藤嘉寅法律事務所へ 
HOME>相続・遺言

寄与分と特別受益

寄与分と特別受益

寄与分

家族

寄与分の制度とは、被相続人の財産の維持・増加に特別な寄与をした相続人がいる場合に、寄与分を金銭的に評価し、これを相続財産から控除したものを相続財産とみなし、このみなし相続財産を基礎として、各相続人の相続分を算定しようとするものです。

例えば、被相続人が、1億2000万円の遺産をのこしたところ、子供3名が相続人でしたが、長男が40年前から父と一緒に家業を行い、生計をともにし、父の晩年は寝たきりの状態であり、10年間にわたり一生懸命介護をしていたといった事情がある場合に、通常の法定相続分では、4000万円ずつ均等に相続することになりますが、これではいかにも不公平です。

そのため、寄与分として3000万円が認められたとします。その場合は、まず、遺産から3000万円を差引いて、3人でわける相続分を確定し、寄与分権者である長男は、相続分に3000万円をプラスして、自己の相続財産とすることができるのです。

計算式
(1億2000万円-3000万円)×1/3+3000万円=6000万円
一人当たり相続分3000万円+寄与分3000万円
よって、長男の相続分は、6000万円となり、他の兄弟は、3000万円ずつ取得することになります。

計算式
相続財産金額総額の内訳それぞれの相続額
1億2000万円長男への寄与分3000万円長男6000万円
残り9000万円
を三分割
3000万円
3000万円次男3000万円
3000万円三男3000万円

寄与分が認められるための要件

寄与分が認められるための要件は、次のとおりです。

?相続人の貢献つまり寄与行為が、
ア被相続人の事業に関する労務の提供
イ被相続人の事業に対する財産上の給付
ウ被相続人の療養看護
エその他の方法などによってなされた、
?特別の寄与であって、
?これらの行為により、被相続人の財産の維持・増加がもたらされたこと

寄与分が認められるための寄与は、特別なものが必要とされており、被相続人との身分関係において通常期待されるような貢献は特別な寄与とはいえず、単に、同居して、食事をつくってあげて一緒に食べていた程度では、特別の寄与にはあたりません。

特別な寄与にあたるというためには、

特別受益

家族2

特別受益とは、相続人に対して遺贈及び一定の生前贈与といった財産分与と見られるものがなされている場合のその遺贈等をいい、これを金銭的に評価して、相続財産に特別受益である生前贈与を加えたものを相続財産とみなし、これを基礎として各相続人の相続分を算定し、特別受益を受けた者については、この一応の相続分から特別受益を控除し、その残額をもってその特別受益者が現実に取得すべき相続分とするものをいいます。

簡単にいうと、親が亡くなった時に、生前子供が親からお金をもらっていたときは、他の相続人との関係で、公平にもらったお金は清算される制度です。

例えば、被相続人が、1億2000万円の遺産をのこしたところ、子供3名が相続人でしたが、長男が生活費として10年にわたり300万円ずつ3000万円が贈与されていたとします。これが特別受益にあたり、まず、3000万円を遺産に持ち戻して、3人でわける相続分を確定し、特別受益者である長男は、相続分から3000万円をマイナスしたものが自己の相続財産となります。

計算式
(1億2000万円+3000万円)×1/3-3000万円=2000万円
一人当たり相続分5000万円-特別受益3000万円
よって、長男の相続分は、2000万円となり、他の兄弟は、5000万円ずつ取得することになります。

遺産合計
遺産長男への生前贈与分
1億2000万円3000万円
合計
1億5000万円
相続財産金額
相続財産金額総額の内訳それぞれの相続額
1億5000万円長男への生前贈与分-3000万円長男2000万円
全財産を三分割5000万円
5000万円次男5000万円
5000万円三男5000万円

特別受益の範囲

特別受益として持ち戻しの対象となる財産は、「遺贈」または、「婚姻、養子縁組のための贈与」もしくは「生計の資本としての贈与」です。法文上一定の限定が図られているように見えますが、「生計の資本としての贈与」は、子が別の世帯をもつ際に不動産を分与した場合、営業資金を贈与した場合、農家が農地を贈与した場合に限らず、生計の基礎として役立つような贈与は一切これに含まれると考えられていますので、かなり広い概念であるといえます。

特別受益の評価の基準時

特別受益の評価時点は、相続開始時とされています。つまり、30年前に贈与された不動産が当時1000万円の価値であったとしても、相続開始時点での不動産評価が、5000万円であれば、5000万円の特別受益を受けたことになります。

では、贈与を受けた不動産をすでに売却済みの場合にどうなるかですが、これを20年前に2000万円で売却していたとしても、相続開始時に、贈与当時の状態であるものと仮定して相続開始時点での不動産評価が5000万円であれば、5000万円の特別受益を受けたことになります。

この考え方は、金銭の贈与を受けた場合にも妥当し、贈与時の金銭的価値を相続開始時の金銭的価値に評価しなおして特別受益額を決めることとなります。